アインシュタインと科学者たち

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第3章 エミリー・デュ・シャトレ

二乗という鍵

――〔〈二乗〉という鍵〕――1722年 フランス シレー城

エミリー「(フェンシング用の剣を取って)シェリル!」

フランス革命以前の科学者たちは、運動を量で表す方法を知りませんでした。物体の運動や衝突に関する方程式は、まだ確立していませんでした。

シェリル「フーッ!」

エミリー「ふふふ…」

この問題の解決に貢献したのは、意外な人物でした。ルイ14世の家臣の娘で、のちにデュ・シャトレ夫人となる、16歳のエミリーです。

エミリー「えいっ!えいっ!」

シェリル「やっ!うっ、はっ!」

エミリー「んふふふ…」

シェリル「はっ!おわっ、うわぁーっ。(雪の上に転がる)」

エミリー「あっははは…」

シェリル「ははははっ!……急げ!父上が来る!」

エミリー・デュ・シャトレは、その悲劇的な短い生涯のなかで、物理学に多大な影響を与えることになります。彼女が世に出した数々の書物の中には、運動について書かれた偉大な論文である、アイザック・ニュートンのプリンキュピアの翻訳もあり、フランスでは彼女の翻訳が今でもスタンダードとなっています。

才女エミリー

「ムーザーン・ミッヒ・カウザース・メモラ。」

男「ミュージオ我が既得の…」

エミリー「おおミュージオ、動機と罪とは関連あり。ふふっ、女神を怒らせれば、憎しみに転ず。どんな無礼に聖母が迫害を始め、勇敢といえども、ただの男なり。」

父「腹を立てるな。エミリーが男をいじめるのはいつものことだ。このあいだも、エミリーが大きな数の割り算をほんの一瞬でやってのけので、相手の男は黙ってしまった。みんなも信じられないという顔だったよ。エミリーの答えが合っていたんでね。」

シェリル「あ、みんなを黙らせたのはどちらでしょうねぇ。驚くべき聡明さか?それともこの美しさか。」

父「はっは。まったくだ。才色兼備な子だよ。」

エミリー「お褒めの言葉ありがとう。でも結局は、そんなの噂話になる程度のこと。もっといろいろなことを勉強してみたいのに。」

父「可愛いエミリー。お前には知性も勇気もある。両方を使えば世界はお前にひれ伏すだろう。」

ジュディス・P・ジンサー 作家「エミリーは生まれる時と場所を間違えたといっていいでしょう。彼女は哲学や科学、そして数学や語学にも秀でていました。彼女が求めた自由、科学を学び論文を書き、発表する自由を女性が手に入れるのは、150年以上あとのことです。」

エミリーは19歳で陸軍の将軍デュ・シャトレと結婚し、3人の子をもうけました。家庭を切り盛りしつつも、科学への情熱を失わず、23歳のときに高等数学に出会い、一流の数学者だったピエール・ルイ・モンペルティから指導を受けました。

ニュートン力学の専門家だった彼とエミリーは恋仲でもあったようです。ところが彼は、北極探検に赴くことになってしまいました。

エミリーは次に、著名なフランスの詩人、ボルテールと恋に落ちました。ボルテールは国王とカトリック教会を痛烈に批判したことで、2度投獄されたのち、イギリスに追放され、そこでニュートンの理論に魅了されたのでした。フランスに戻って来てからいくらも経たないうちに、また国王を侮辱した彼を、エミリーは城に匿いました。

パリから遠く離れて、エミリーはボルテールと二人で、その城を学問と文化の宮殿に作り替えてゆき、小劇場も作りました。夫公認のもとでです。

パトリシア・ファラ 歴史学者「誇張されてはいますが、エミリーには恋愛にまつわる逸話が多くあります。でも実際ボルテールのことは、夫も受け入れて、彼の代わりにパリへ行き、出版社を訪ねたり、当局に陳情したりしました。またエミリーが何人かの男性と関係を持ったことも事実です。」

「ブラボー!」

ジュディス・P・ジンサー 作家「エミリーの研究所は科学アカデミーに匹敵するものでした。当時の一流の哲学者や詩人や科学者がそこを訪れました。」

ニュートンへの疑念

エミリー「はっ、あなたはまだお若い。早く私という人間を、ありのままに見られるようになって。私を夫やボルテールの付属物のように見ないでちょうだい。私は私という人間なの。私の責任は私が持つ。自分であることも。自分の言葉に。(男の首筋に息を吹きかけて)ふっ。自分の行動に。」

エミリーは周囲の男たちから多くを学び、すぐに自分の考えを持つようになりました。

エミリー「一理あるけれど…」

やがて、偉大なアイザック・ニュートンの考えにも、過ちがあるのではないかと考え始めたのです。ニュートンは、ある物体がほかの物体にぶつかるときの運動の量は、単純に、その物体の質量かける速度で求められるとしていました。

訪問者「(議論しながら)…まず疑いのないところだ…」

しかし、ドイツの科学者と交流のあったエミリーは、ゴットフリート・ライプニッツの説を知っていました。ライプニッツは、動く物体には内なる力があると考え、それを活力と呼びました。多くの人は認めようとはしませんでしたが、ライプニッツは、物体の運動の量は、質量かける速度の二乗で表わされると考えていました。

デイビッド・ボダニス 作家「数を二乗するという考えは、昔からありました。

例えば4の二乗というのは4掛ける4、タイルが横に4枚、縦に4枚ずつあったら、その数は4の二乗の16枚。横に8枚、縦に8枚ずつであれば64枚。このように、二乗して数を多くしていくと、自然界に当てはまることが多いのです。」

エミリーの信念

ボルテール「エミリー、エミリー!……エミリー、ばかなことを言うな。なぜ活力のようなあいまいで、測定できないものをいまさら持ち出すんだ。古い考え方に戻る気か?そんなのはオカルトだ!」

エミリー「でも運動が始まるとき、活力が生じるのはわかるでしょう?それはどこから生じるの?たとえば人間は、自分の意思でいつでも体を動かせる。ライプニッツは、その力はどこからくるのかと考えた。」

ボルテール「エミリー君の場合、それは本能の力だろうな。」

エミリー「はぁ…、あなたにはうんざり!冷やかしや当てこすりばっかり。ニュートンを理解してると思い込んでいるだけだし。ライプニッツは理解できない。口先だけの人よ。過激なことを言って騒ぎを起こすだけ。非難してみたり侮辱してみたり。自力で何かを発見する才能はないの?」

ボルテール「くっ…。……君を見つけたじゃないか!」

誰もがニュートンを正しいと思うなか、エミリーは自分の信念を曲げませんでした。そしてついに、オランダ人のウィレム・スフラー・フェサンデの行った実験が、彼女の正しさを証明したのです。

スフラー・フェサンデの実験

エミリー「スフラー・フェサンデが、鉛の球(たま)を粘土に落とす実験をしたの。」

ボルテール「鉛の球をだと?粘土に落とす?実に独創的だ。」

エミリー「一つ目の球を粘土に落としたあと、二つ目の弾は、粘土に落ちるとき、一つ目の球の倍の速度になるように計算した高さから落とす。さあみなさん。ここで賭けをしましょう。ニュートンの説では、球の速度を倍にすれば、粘土にめり込む深さも倍になるはず。でもライプニッツの説は、速度の二乗。ライプニッツが正しければ、球のめり込む深さは2倍ではなく4倍になる。どっちが正しいと思う?」

モウペルティ「みなさん、ニュートン氏の名声が揺らぎ始めたようですよ。わずかとはいえ。」

ボルテール「おおモウペルティ、エミリーにおもねるな!活力なんてあるはずないじゃないか。何を考えてるんだか。うわははは…。」

エミリー「でも、落ちた球は、4倍の深さにめり込んだ。」

デイビッド・ボダニス 作家「ライプニッツの計算式のほうが、動く物体のエネルギーを表すには、正しいのです。時速30キロで走る車と、90キロで走る車を比べると、速度は3倍ですが、ブレーキをかけて止まるまでに必要な距離は、9倍になります。」

「おお、これは。検討に値する実験結果だ。」

「彼の計算式を調べてみましょう。」

エミリー「私がもう確認してみたわ。ライプニッツの正しさに間違いはない。この結果は私の本に書くつもりよ。」

「しかし…。」

「気をつけたほうがいい。アカデミーがそんな考えを認めますか。」

ボルテール「その通りだ、気をつけないと。」

エミリー「なぜ?直ちに発表するわ。真実は真実ですもの。」

ジュディス・P・ジンサー 作家「エミリーが1740年に出版した物理学協定は、大論争を引き起こしました。ボルテールは、彼女は偉大な人物だ、欠点は女だったことだけだと書いていますが、当時これは大変な褒め言葉でした。」

エミリーの死と、その貢献

エミリー「子供ができたの。」

ボルテール「本当か。」

エミリー「間違いないわ。今2~3か月。」

ボルテール「はぁ…。」

エミリー「私怖い。」

ボルテール「怖いだと?ならちゃんと……はぁ…その子は私の子じゃないだろ。ご主人の子でもない。ああ、全く君って人は。」

パトリシア・ファラ 歴史学者 ケンブリッジ大学「18世紀当時、43歳の女性が妊娠するということは、非常に危険なことでした。妊娠中、エミリーはずっと恐ろしい予感に悩まされました。」

エミリーは生涯を通じて、女性ゆえの限界を突き破ろうとしましたが、最後は、若い兵士との情事が彼女の死を招きました。4人目の子を産んで6日後、彼女は塞栓症で亡くなりました。

エミリー・デュ・シャトレの、物体の運動の量は、その速度の二乗と相関関係にあるという考えは、大論争を引き起こしました。その考えが受け入れられたのは、彼女の死後100年が経ってからでしたが、アインシュタインが光の速度をもって、エネルギーと質量とを結びつけるのに貢献しました。

特許局のアインシュタイン

〔スイス ベルン特許局〕アインシュタインは、大学を卒業してからもずっと光について考え続けていました。多くの教授を怒らせたため、誰からも推薦状を書いてもらえず、スイスの特許局で賃金の低い仕事に就きました。ミレバと結婚して子供も産まれましたが、苦しい生活でした。しかし、アインシュタインは気にしませんでした。

特許局の上司「アインシュタイン、相変わらず忙しそうだな。いいかね、アインシュタイン。アルバート、君はいくつか素晴らしい業績もあげている。だが…いいかね。君の昇格だが、機械工学を完全に習得するまでは見合わせたほうがいいと思うんだよ。すまんな、はは。きっと、次の機会には。」

ミレバ「メイドを雇ってもらって大学に戻りたかったのに。もう学位論文は取れないわ。」

アインシュタイン「まあまあ、そう落ち込まないで。そのうちすべて、うまくいくさ。」

ミレバ「でもどうやったらうまくいくの!?あなたが昇格するまでもう一年待てっていうの?」

ミレバ「(赤ん坊をアインシュタインから受け取って)ああ…ほらおいで。いい子ね。よしよし。泣かないの。泣かないのよ…。」

アインシュタイン「きっとうまくいく。うまくいくさ。大丈夫。」

デイビッド・ボダニス 作家「アインシュタインには、人を惹きつけると同時に、自己中心的なところがありました。自分の関心事にしか目を向けず、周りの状況など気にしませんでした。」

「…僕に黙ってるなんて水臭いよ。だろ?……おおっと、ようやく来たぞ。」

アインシュタイン「君は相変わらずだな。美人がいると見逃さない。ベッソ―、それは謎を理解し、解き明かすためだよ。」

ベッソ―「そういう謎は、面倒を引き起こすだけだ。」

アインシュタイン「人生の謎といったら、結婚を長続きさせるコツだな。」

ベッソ―「フン。」

「計算は間違っていない。風変りだけどね。しかしこれは大きな体系にしか適応できない。小さな体系には当てはまらないよ。」

アインシュタイン「そんなことはない。」

ベッソ―「あーあ、またアルバート・アインシュタイン三級技術審査官の壮大な理論が始まった。」

アインシュタイン「どうなると思う。これらの方程式を、電磁放射に当てはめたら。」

「アルバート、ある分野から法則をひょっこり借りてきて、全く違う分野に当てはめたってだめだよ。」

アインシュタイン「どうして。」

ベッソ―「アルバート、君は、昔から大きな理論を展開するのが好きだった。だけど、もう少し小さな研究分野に絞ってみてはどうだ。大学に就職して、まともに稼いでくれ。頼むから。そうすればミレバは大学に戻れて、家庭も円満だろ。」

アインシュタイン「ああ、全く低俗だな。働いて食って女と寝て、ブルジョアみたいな口をきくな。僕は、神がどうやってこの世界を作ったのか知りたい。細かい現象やら、スペクトルやら、元素やらに興味はないんだ。神の考えが知りたい。そのほかは、付属品だ。」

「でも神の考えじゃ、子供は養えないんだぞ。」

世紀のひらめき

デイビッド・カイザー 物理・歴史学者 マサチューセッツ工科大学「アインシュタインは、親友のミケーレ・ベッソ―と散歩に出かけました。何年も一緒に物理学を研究してきた仲の二人は、光についてありとあらゆる角度から議論しました。」

アインシュタイン「あの時計台が見えるかい。」

異なる二つの時計台から光が届くのに、どれだけ時間がかかるのか。それをベッソ―と考えていたとき、アインシュタインにひらめきが訪れました。

アインシュタイン「……ありがとう。ありがとう。ついに、完全に、謎が解けたよ。」

ベッソ―「アルバート?」

デイビッド・ボダニス 作家「彼のしたことは、発想の転換でした。ほかの科学者は、光と同じ速さを出しても光は時速10億8,000万キロで逃げていくという、マクスウェルの主張を受け入れられませんでした。しかしアインシュタインは、それを事実として受け入れ、光の速度が不変なら、それに合わせて宇宙の法則を書き換えればいいと考えました。そのためには、時の流れを遅くすればいいのです。」

リサ・ランドル 物理学者 ハーバード大学「彼は、光の速度に近づくと、時間の歩みさえ遅くなると気づきました。歴史的な発想の転換です。」

ミチオ・カク 物理学者 ニューヨーク市立大学「アインシュタインが、時間も遅くなることがあると気づいた瞬間こそ、いうなれば水門が開き、水があふれ出した瞬間でした。それまで、時間とは神の手に握られた腕時計のようなもので、宇宙のどこにいようと、常に一定していると考えられていました。しかしアインシュタインは、違う、神の腕時計のチクタクいう音の正体は、電気が磁気を生み、磁気が電気を生む音なのだ。すなわち唯一、一定なのは光であると気が付いたのです。」

奇跡の年、1905年

デイビッド・ボダニス 作家「1905年は、すなわち奇跡の年でした。驚くべき創造性です。まず光の本質について論文を発表しました。次に、分子の大きさの計測法についての論文を書き上げます。続いて、分子の熱運動による、微粒子の運動の理論を発表し、原子の有無をめぐる論争に終止符を打ちます。そして4本目の論文で、時間と空間について驚くべき議論を展開しました。これが特殊相対性理論、世界観の変革でした。」

アインシュタインが扉を開けた、この新しい世界で普遍なのは、時間でも空間でもなく、光です。

しかし、奇跡の一年はまだ終わっていませんでした。1905年に発表した最後の論文で、アインシュタインはさらなる統一性を示しました。

自分の新説を検証しているとき、彼は奇妙なつながりに気付いたのです。エネルギーと、質量と、光との関係。

デイビッド・ボダニス 作家「彼は、光の速度が、物質の速度の限界だと気づいていました。光より速いものはないのです。汽車を想像してみてください。汽車にどんどんエネルギーを与えて、スピードを上げていったとします。しかし光の速度を超えることはできません。では、それ以上に与えられたエネルギーはどこへ行くのでしょう。そのとき、エネルギーは物体の質量に変わります。つまり外から見ると、汽車は重くなっているのです。エネルギーは、質量になる。この驚くべき考えに、本人も呆然としました。」

アインシュタイン「ついに…僕は、エネルギーと質量との関係を発見した。いいかい?エネルギーも、質量も、絶対ではない。別個のものでもない。交互に変換することが可能なんだ。エネルギーは質量になれるし、質量はエネルギーになれる。しかもエネルギー・イコール、質量じゃあない。

エネルギー・イコール質量、かける光の速度の二乗なんだよ!あっは!」

ミレバ「計算確かめてあげようか?」

E=mc^2

アインシュタインは1905年、5つ目の論文を発表しました。その3ページの論文に彼は、エネルギーと質量とは、光の速度の二乗によってつながる、と記しました。E=mc^2。自然界では一般的な4つの概念を用いて、アインシュタインは全く新しい境地に到達しました。10年に及ぶ、光の研究の集大成です。

デイビッド・ボダニス 作家「何千年ものあいだ私たちは、物体と質量の世界と、運動や力やエネルギーの世界を、分けて考えてきました。しかしアインシュタインは、エネルギーは質量に、質量はエネルギーに変換されうること、エネルギーと物質と光の間には、統一性があることを示したのです。」

ミチオ・カク 物理学者 ニューヨーク市立大学「E=mc^2。この方程式は、どんな物質の中にも凄まじいエネルギーが秘められていることを示しています。光の速さは、秒速3億メートルです。これを二乗すれば、9京、つまり9,000兆の10倍という数字になります。つまり、物質とは、凝縮された巨大なエネルギーに他ならないのです。もし物質の中から、例えばこのペンの中から、エネルギーを全部引き出せれば、原子爆弾に匹敵するエネルギーが得られるわけです。」

リサ・ランドル 物理学者 ハーバード大学「アインシュタインのこの論文のあと、科学者はエネルギーと質量とを分けて考えなくなりました。両者は同じなのです。」

科学史上、最も奇跡的な一年は静かに終わりました。論文は発表されたものの、何の反応もなかったのです。

アインシュタイン「神は僕を笑っているだろうな…。」

しかし徐々に、あちこちから手紙が届き始めました。4年間、アインシュタインは全ての手紙に返事を書き続けました。複雑な理論に困惑する物理学者たちに、自らの考えを説明しようとしたのです。

S・ジェームズ・ゲイツJr.物理学者 メリーランド大学「面白いですよねえ。アインシュタインの論文は、宇宙の見方を変える論文でしたが、世間はすぐには変わらず、理論が受け入れられるまで時間がかかりました。」

ミチオ・カク 物理学者 ニューヨーク市立大学「アインシュタインのファンクラブに入ったのは、たった一人。でもそれが、当時もっとも著名な科学者だったのです。」

特許局の上司「アインシュタイン、アインシュタイン。マックス・プランクの助手だという方がいらした。」

アインシュタイン「マックス・プランク?」

特許局の上司「そうだ。あちらの方だ。君に会いたいそうだ。」

ミレバとの別離

マックス・プランクは、世界中の著名な物理学者たちにアインシュタインの考えを紹介しました。そして4年後、アインシュタインはチューリヒ大学の物理学の助教授になります。ここからは一気に階段を駆け上がりました。ベルリン大学の教授となり、世界的な評価を獲得し、その名は広く知れ渡りました。まさに、現代物理学の父として、認められたのです。

皮肉なことに、この成功が、結婚生活の破たんを招きました。1919年、ミレバと離婚し、自分のいとこと再婚しました。有名人ゆえ、誘惑も多かったのです。

E=mc^2は、原子の中に巨大なエネルギーが眠っていることを約束するものでした。アインシュタインは、原子の中に入るには、あと100年の研究が必要だろうと考えていました。しかし、第二次世界大戦と、ナチスドイツにいた一人のユダヤ系の天才女性が、研究を加速したのです。

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